HAYASEについて

アメリカのストリートファッションを扱う代理店で働いていた私は、9・11同時多発テロの勃発による社会の変化をまざまざと体感しました。人々の価値観の変遷と共にブランドの魂ともいえるデザイン骨子が大きく変わり、多くのデザイナーが去っていきました。そして、「時代に合わないから」という理由で愛されていた服がタンスの奥に押しやられてしまう現実も目の当たりにしたのです。服命!だった私にとって衝撃でした。27歳の時です。その後、「流行に左右されず半永久の価値を持つもの。そして人から人へ思いを載せて受け継がれるもの、かつファッションに関わるものに一生携わりたい。」という願いを、胸に私は宝石業界へ転職しました。

宝石業界は私が希望していた通り、半永久の価値を持ち続ける、地球から生まれた宝物を商材にしている世界でした。販売店で経験を重ねていくにつれて店舗経営を任されるようになった私は、ある一種の疑問を胸に感じるようになっていたのです。とある大手百貨店の宝飾売り場で販売指導をしていた時でした。

「同じようなデザインのジュエリーがどこのブランドにもたくさんある。それを販売員は他店と競争しながら売り続けなければならない。それは果たしてお客様のためなんだろうか。それとも会社存続のためなんだろうか。」と、

その後、本当に私がやりたいことは何なんだろうか。人と心を通わせながらジュエリーをお勧めできる私の道は何なんだろうか、と考え続け始めたのがHAYASEです。お守りのように、一人ひとりの心を灯すジュエリーを仕立てる宝石店です。

私には、ちょっと恥ずかしくて人に見せられない宝物がいくつかあります。例えば古すぎて天板が曲がってしまっている祖父の机。小学校低学年の時にねだって買ってもらった紫色のプラスチック(ガラス?)がついたボールペン。箱がボロボロすぎる家族からお下がりでもらった昭和初期のハーモニカ。全部、宝物になった理由があります。宝物になった瞬間のことを今でも鮮明に思い出せるし、その時は胸の奥がぎゅぅっと締め付けられて「一人じゃない、よし頑張ろう」と思えるのです。

『例えば小さな頃お祭りでおねだりして買ってもらったおもちゃの指輪。捨てられないけど大人になった今はとてもつけられない、でも宝物。その指輪からガラスの石をそっと外してプラチナで作り替える。ワクワクしたあの時の思い出をデザインに込めて。』そんなお仕事を今させていただいています。ですから、デザインをする際は不躾ながらもお客様のことを色々とお聞きしたり、一見デザインとは関係のない質問が並ぶインタビューシートをお渡しして、ご自宅で記入していただいています。そうしてお客様と私と職人とで作り上げるこの世にたった一つの宝物が完成します。

お客様の中には「安物だけど・・」と持ってくる方がいらっしゃいます。私が大切にしているのはその方の気持ちなので天然か模造か、また高額か否かは価値に影響しないと思っています。今のジュエリーの状態を説明しご理解いただいた上で、できる限りのことをしてその方が求めているようにさせていただいています。お修理方法、お値段も数パターンご提示するようにしています。もちろんご希望に沿わない場合はお断りいただいています。

私が大切にしているのは、目の前の方が何を欲しがっているかを聞かせていただくことです。すべての方の話を深く聞いて、そして満足していただくことです。お料理一つにしてもお腹いっぱい食べたい人、少しでいいから美味しいものを食べたい人など色々ですよね、もちろんジュエリーもそうです。私の考えを強く勧めるのではなく、その方が求めていることが何なのかを相手の心に寄り添って聞いていけるよう意識しています。

企業名であるHAYASEとは漢字で「瀧」と書きます。これは私の氏名の一部から用いました。 ものに込められた思いを清らかに未来へ渡す橋渡しでありたい、と願い縁を表す水よりインスピレーションを得ました。 また私自身の中に、先人から代々受け継がれてきた物、思い、命を活かしたいという思いがあったからです。 人と石を活かすジュエリーデザインを通じて社会に奉仕していきたいと思っています。 触れた時あたたかな思いが胸いっぱいに色がるようなジュエリーを生み出せるよう、日々成長していきたいと考えております。

大瀧 由希OTAKI YUKI

  • 代表
  • ジュエリーデザイナー
  • JJA認定ジュエリーコーディネーター
  • GIA G.G. (米国宝石学会 宝石学終了者)

1978年生まれ

アパレル商社に勤務中、流行に左右されず、思いを乗せて受け継いでゆく仕事に従事したいと決意し、ジュエリー業界に転職する。

外資系ラグジュアリー宝飾ブランドや国産大手宝飾ブランドでの接客・販売を経験し、店舗運営・スタッフ育成のマネジメントに携わる。

その後国産大手宝飾ブランドでのジュエリーデザインを経験し、お客様との会話から着想を経て目の前でデザイン画を描くオートクチュールデザインを行なっている。

職人のこだわり

中村 肇NAKAMURA HAJIME

  • アライアンスクラフトマン(有限会社ネオクラフト代表取締役)
  • GIA G.G.(米国宝石学会 宝石学修了者)
  • ダイアモンドインターナショナルアワード アジアオセアニア上位入選
  • ニューヨークテロ追悼式典に作品寄与
  • 人間国宝 柱米朝師匠の落語会の為住吉大社より作品製作依頼
  • EVISジーンズ、YAMANE DELUXEのデザイン・制作

デザイナーのイメージを100%実現するために、デザインによって作る手法を変えています。金属の種類を選ばずに加工ができる数少ないクラフトマンであり、そのセンスは多くの著名人や海外からも支持されています。

デザインのみならず美しさを半永久的に持続させるため耐久性にも配慮しています。

宝石学のプロフェッショナルであるため、都度宝石の状態を確認・検査し制作を行なっています。