私がジュエリーを纏う理由
以前はカジュアル衣料の仕事をしていた。
ジュエリーのように高価なものには興味がなく、
手頃な価格で流行かつオシャレなものばかり
揃え楽しんでいた。
たまにブランドのスカーフや財布を買って
小さな贅沢を楽しんでいたが、
それもファッションの一部として
流行として選んでいたのだと振り返り思う。
だからジュエリー業界に転職した時は心底驚いた。
「こんなに高くて小さいものを誰が買うんだろう!」
と。
私には売れるわけがない、と瞬時に思ってしまったほどだ。
そんな私でも、一つだけダイアモンドジュエリーを持っていた。
アパレルの仕事をしていた時、
社員旅行でハワイを訪れた際に
一目惚れしたクロスのペンダントがあった。
大きくディスカウントされていて、
新入社員の私でも背伸びすれば買える価格。
「仕事を頑張るために欲しい」
そう思った私は勇気を出してカードで購入した。
帰宅後、ある日友人から声をかけられた。
「それ、ダイアモンドでしょ。光が違うからすぐ分かった。」
それはとても小さなダイアモンドが数石ついただけのペンダント。
でも輝きが違うと彼女は言うのだ。
なんだかとっても嬉しくなり、それまで以上にネックレスは宝物になった。
特に、背伸びしたいときや自分に気合いを入れたい時、
いつも以上の力を出したい時はつけるようにした。
ジュエリーは手に持っただけでは、見ただけでは
本当の価値は分からないのではないか、と私は思う。
身につけて体と一体となると
ジュエリーの輝きが私とひとつになったように感じる。
そして普段以上に
私を魅力的に見せてくれると思わせてくれる説得力があるのだ。
言葉にすると別な表現になりそうで、
うまく書けないのだが。
だから私は、真剣勝負の時はいつもジュエリーをつける。
本物を身につけると、
まるで私も本物になったような気がする。
そしてリラックスして休みたい時は、
敢えてジュエリーを外す。
ジュエリーをつける時は自分にもパワーがいるのだ。
元気がない時はジュエリーに負けてしまう。
ジュエリーとの関わりでさえ私には真剣勝負だ。
コンディションを整え、クリーニングしたワンピースを着て
メイクをして仕事に向かう。
その時私の相棒は本物のジュエリー。
背中をぐっと押してパワーをくれる永遠の相棒だ。