茜色の空

2019.9.28

 

「そういえば、あなたにあげるものがあったわ」

と突然ネイビーの箱を手渡された。

 

 


いつもの食卓
変わらない風景の中に
見慣れない小ぶりの小箱が浮き上がったように見える。

 

 

 

「あなたの友だちに作り替えてもらいなさいよ」
そう言ってニヤリと笑う母をよそ目に
なんだろうと思い箱を開けた。

 

 

 

そこには見たことのない美しい
赤紫色の宝石。

 

 

 

 

 

 

「お父さんが昔くれたのよね」
母は隣で懐かしげに話しだしていたけど
私はまるで宝石に吸い寄せられたかのよう。
じぃっと見入ってしまった。

 

 

 

まるで父が生まれ育った
海辺の街に広がる夕焼けのようだ。

 

 

 

父はその街を出て、
もう少し大きな不便のない街に引っ越し
母と結婚した。
故郷に帰るのは
一年に一度、お墓まいりの時くらいだ。

 

 

 

もしかして、
あの空を母に見せたかったのかな。
あの空の下で微笑む母を好きになったのかな。

 

 

 

こっぱずかしくてそんなこと、
父には聞けそうにないけど
でもちょっとだけ、
父と母の昔の話を聞いてみたくなった。

 

 

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