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<Wonder of Gems>「私が見つけた!」小石の正体はなに?手から手へと渡り続ける不思議な小石のお話

ダイアモンドのはじまりはインドとされていますが、
南アフリカにもとってもユニークなダイアモンドの
逸話が残されています。今日は南アフリカで最初に
ダイアモンドだと認知された宝石の話をご紹介します。

 

 

今、南アフリカのキンバリーにある、ダイア
モンド博物館に展示してあるのがそのダイア
モンド「ユーリカ」です。
(歴史的にみて、大きく美しく稀少性の高い
ダイアモンドには時折名前がつけられます。)

 

 

1866年、そのストーリーは南アフリカにある
ケープ植民地で賑やかに始まります。
ある一人の少年エラスムス ジェイコブズが
ある日偶然に美しい小石を見つけました。
彼は農家の息子で15歳。見つけた小石があま
りにも綺麗だったので、彼は家に持ち帰り
妹にプレゼントしました。

 

 

 

ある日、ジェイコブズの近所に住む別の農家
が、美しい小石で遊んでいる子どもたちを目
にします。何だろうと近づいたところ、あま
りの美しさに驚いた農夫は、その小石が欲し
くなりました。そこで子どもたちの母親に
「どうか譲ってくれないか。代金も支払うか
ら。」と頼んだのです。するとその母親は、
「子どもが拾ってきた石だから」とタダで
農夫に小石を渡しました。

 

 

 

農夫の名前はシャルク ヴァン ニーカーク
といい、彼はこの石は普通の小石と違うと
確信していました。そこで様々な方法で
それが何なのかを突き止めようとしたのです
が、答えは見つかりません。彼は地元で
有名な知識人のジョン オライリーに、その
石が何であるか調べて欲しいと預けたのです。

 

 

石を手にしたオライリーは、「この石はダイ
アモンドではないだろうか」と疑いました。
そして行政官へ持って行ったのです。行政官
は石を見てすぐに、アマチュアの鉱山学者で
あり内科医の知り合いに送るよう、オライリ
ーに提案しました。

 

 

さて、人の手から手へと渡ってゆく不思議な
小石。その正体を見極めたのはこの内科医で
した。それは何と重さ21.25カラットのダイア
モンドだったのです。1カラットは0.2gですか
ら重さにして4.25g。私たちには想像つきにく
いですが、とても大きく、大人の女性の片手
で包むくらいの大きさと思って良いでしょう。

 

 

この「ユーリカ」と名付けられたダイアモン
ドはその後オーバルブリリアントカットに
カッティングされました。オーバルブリリア
ントとは、楕円形のキラキラ輝くカッティン
グスタイルです。カット後のダイアモンドは
原石の状態より小さくなりましたが、輝きは
一段と増したので価格もグッと上がりました。

 

 

1867年のパリ万博では水晶で作られたレプリ
カが展示されました。(本物は盗難の恐れが
あったため展示されませんでした。)
そして時は経ち、1947年にユーリカと思われ
るダイアモンドが、クリスティーズのオーク
ションに姿を表しました。その頃にはブレス
レットの真ん中にセッティングされたジュエ
リーになっていました。そして発見されてから
100年後、デ・ビアスがユーリカを購入、
キンバリーに持ち帰りました。
その後はキンバリーにあるダイアモンド博物
館に展示してあるそうです。

 

 

さて、この「ユーリカ」は一体どんな意味
だと思いますか?
それは、、「私が見つけたぞ!」なんです。
15歳のジェイコブズが叫んだか、
内科医が呟いたかは定かではありませんが
おそらく美しい小石を目にした多くの人が
その美しさに目を奪われ、「見つけた!」
と呟いたのではないでしょうか。

 

 

 

(参考:GIA Diamod&Diamong Grading,THE GIA DIAMOND DICTIONARY)